かっこいい私達の息子、かわいい私達の娘
韓国語を注意して聞かなくても、耳にはいったものが自然と理解できるようになってきたころのことです。マンションのエレベーターの中で夫婦とその男の子に3人とにいあわせました。お母さんは息子に「かっこいい私達の息子」といって、語りかけていたのです。他人(そのころは私も家族も他人の感覚でした)の前で、自分の息子をほめるのか?とびっくりしました。
でも、その後、人々の会話やドラマをよく観察してみると「かっこいい私達の息子/かわいい我が娘」は、人の視線をはばからず、よく使われている言葉でした。
韓国には謙遜という意識はないのかと不思議だったのですが・・
本当に謙遜という意識はなかったのです!?
妻の料理が最高!
これも、韓国語を聞くのに慣れたばかりころの話です。ラジオ番組で、夫から妻に送るメッセージを読んでいました。その中に「外で食べるどんな豪華な料理よりも、妻が作ってくれた料理がおいしい」というメッセージがありました。奥さんの手料理を公然の場でほめるなんて、なんてかっこいい旦那さんだろうと感激したのですが・・
今回はテレビのバラエティー番組を観察してみたら、
奥さんの手料理をほめる旦那さんはありふれていて、特にめずらしくはなかったのです!
韓国語には謙譲語がない ~参る、申す×
韓国語には自分を下げることで、相手の位置をあげる「謙譲語」がありません。参る、申す、いたすなどの言葉がないのです。言葉がないのに、「謙譲」「謙遜」する意識がおこるわけがありません。
謙譲語は、自分や身内の動作が主語になるときの動作を表す言葉ですが、そもそも、韓国は他人も家族で身内/身内じゃないの基準がないうえ、宝物のような大切な家族を下げる気持ちはさらさらありません。身内を謙遜する観念は全くないといっていいでしょう。
こうしてみると、韓国人が人の前で家族をほめるのは、当人たちには自然なことで自慢している気持ちはさらさらないのですが、身内を謙遜する常識をもっている日本人には、家族を自慢しているとか、のろけているとかとらえられがちです。
反対に、自分の家族を褒めて話すのが自然な、ある韓国人は、日本人の友人が、「自分の子供のことをかわいくない」と言うのをきいて、ありえないとびっくりしていました。
日本語が独特?
世界の共通言語の英語と、世界で一番話す人口が多いといわれている中国語は相手をうやまう敬語さえありません。韓国語では敬語はありますが、相手の位置をあげる尊敬語(いらっしゃる、おっしゃる、されるなど)だけです。日本語の謙譲語のほうがめずらしく、身内を謙遜する観念は日本語の独特な観念なのです。
かわいい、かっこいいと言われた子供/言われてない子供 ~どっちが元気?
さて、かわいい、かっこいいーとしょっちゅう、ほめ言葉を聞いている子供と、全く聞いていない子供とでは、どちらの子供の方が、パワーがあるでしょうか?
ほめ言葉を聞いている子供でしょう。たくさんほめ言葉を聞いていたら、嬉しいし、自信感もついてきます。
日本人が、韓国人の話している声がうるさいと感じるほど大きく聞こえ、自信満々でパワーがあるようにみえるのは、こういうほめられる回数も要因のひとつでしょう。
私の大切な家族
こうして身内を謙遜する概念のない韓国語をずっと聞いたり、話したりしていると、家族は下げるものではなく、大切な宝物だという意識が自然とめばえてきます。自分の家族をとても愛しく感じます。韓国人の家族だけでなく、自分の日本人の父と母も、韓国語を知らなかった時よりもずっと愛しいです。
(2024年9月6日 韓大納言記)
追記:こうして記事をかいている間にも、近所に住む友人が田舎からたくさん送ってきたからと、とうもろこしを煮て持ってきてくれました。大量です!
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コメント
いいお話ですね。
とても勉強になります。