韓国で料理にチャレンジ! その1

食文化

日本にいる時は・・

私は大雑把で、面倒くさがり屋で、不器用で、日本に住んでいる時は、時間をかけて作っても、食べる時間はあっという間の料理は、大嫌いでした。 料理することには全く関心がなくて、食事は外食かスーパーの総菜ですませていました。 ただ、美味しいものには目がなく、 美味しいお店を探すほうに時間と労力をかけていました。

いわば、そんな料理ど素人の私が、異国の韓国で料理することになったのですが...

韓国に来てみると・・みんなの為に、みんなで作る

いちよ、日本にいるうちに韓国料理の本をみて、キムチ以外は一通り作って練習しておきました。 しかし、実際に韓国にきてみると、本を見ながら作るのとは、全く勝手が違いました。

大量に作る

韓国では食事を一人で食べる習慣はなく、みんなで食べるため、消費量が多く、大量に作らないといけません。

日本のように1日3食、そのたびに作るのではなく、1回に大量に作って作り置きします。これも1回に作る量が多くなる理由のひとつです。

家族のだれかの命日、お盆、旧正月、山岳会、奉仕活動、1年分のキムチをつくるキムジャンなど、数人~数十人と集まるイベントが多々あり、この時も、基本的に自分達で食事を準備し大量に作ります

みんなで作る

こういった大量の料理を作る時は、一人では難しいので何人かが集まり、みんなで作ります

料理の手順の説明はいっさいなく、分担もきめず、各自、全体を眺めて、自分で自分のすべきことをみつけます。

融通性がある

大量に作るせいか、材料の野菜を何個使うか、調味料をどのくらい入れるかの計量、どのくらい炒めるか、煮るかの計時もいっさいしません。自分で見当をつけて適当にします。

上記は韓国の代表的な料理、キムチチゲ、ビビンバ、チジミ、サムゲタンです。どれも、典型的なパターンはありますが、なにか不足なもの材料があったとしても、メインになる食材さえあれば、残りはありあわせの材料で作ることができます。

食べる人の健康を祈る

韓国では、「医食同源」という、食事で健康を維持する考え方が根強くあるため、料理を作る人は、食べる人が健康であるように祈りながら作るという習慣があります。

料理上手な人達が異口同音にいう、「精誠」をつくしなさいという言葉もあります。「精誠」という言葉は日本ではあまり聞きなれない言葉ですが、面倒くさいことを厭わず、一生懸命、心をこめてするという意味です。作っている時の気持ちがそのまま料理に反映すると考えられていて、食べる相手の健康を考えて、真心をこめて明るく、楽しい気持ちで作るとおいしくできるそうです。

韓国料理をみんなで作ってみて・・

こうした料理の仕方は、最初はかなり当惑しましたが、回数を重ねてくると、自然と得られたものがたくさんありました。

観察力

どこに行っても、手順の説明も分担のとりきめも一切なく、最初は、何を作るのか、道具がどこにあるかさえわからず、何が何だかさっぱりわかりませんでしたが、とりあえず周りをみて、にんにくの皮をむいたり、 白菜を一口サイズにきったりするなど、自分のできそうな作業をみつけてしました。おかげでいつでも、どこでも誰が何をどうやっていているのか観察する力がつきました。

希望

“大量に作って、融通がきく”は、いい言葉で言えば、“ダイナミックで、柔軟性がある”ですが、悪くいうと“大雑把で適当”です。これは 、大雑把な私にでも料理できそうと希望の光がみえました。

“食べる人の健康を祈る、作っている時の気持ちが料理に反映する”も真心をこめて作れば、不器用で料理テクニックが劣っている私でも、美味しくできるのではないかと、さらに希望の光がより強くなりました。

楽しみと探求心

私でも美味しく作れるかもしれないと希望がもてたら、料理するのが苦痛から楽しみに変わりました。楽しいので、韓国語のレシピや料理番組をみたり、家の外でおいしいものを食べたら、どういう風に作るのが考えてみたりと、料理に対しての探求心もわいてきました。

創造力

食材に何か足りないものがあっても、あり合わせの材料で作る習慣もつきました。

韓国で絶対足りないものが、うどん、ラーメン、そばなどのスープです。麺つゆは大型スーパーで時々売っていますが、日本での価格より割高です。

韓国のラーメンのスープも全部唐辛子がはいっていて赤色で、日本の味のスープは家庭用はなかなかみつかりません。

幸い、お手本となる人がいっさい化学調味料を一切使わず、いろいろなソースを自然の調味料だけで作っていたのをよくみていたので、抵抗なく、麺つゆは昆布と鰹節から、ラーメンスープは鳥がらから作るようになりました。

スープと同じように、安く売っていない和風ドレッシング、フレンチドレッシングも自分で作るようになりました。

韓国マジック?

はたして、こうして私が作った料理、私の家族にはどうだったのでしょうか?

家族はいつも美味しくいっぱい食べてくれます。 他の人が食べたら、カットも不揃いで見た目も悪いし、美味しくないかもしれません。

でも、私が心をこめて、家族の健康を考えて作っているのが料理に伝わって、家族には美味しく感じるようです。 一生懸命した分、家族が喜ぶという、結果がしっかりでて、私は、本当に料理するのが楽しくなりました

今でも、大雑把で不器用なこと、美味しいものを食べたいのは以前と同じですが、美味しいものを食べたいのは、家族に美味しいものを食べさせたいから、自分で作りたいからになりました。

これも、韓国にきてから大きく変わったことのひとつです。韓国は大嫌いだった料理も楽しくできるようになる不思議な国です。

(2024年9月30日 韓大納言記)

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コメント

  1. マス・モーリン より:

    とても愛情のこもった内容で、ほっこりします。
    韓国に留学して、家族文化を研究しようとしている学生にこの記事を紹介しています。

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