韓国で初めてのカラオケ
私が初めて、韓国のカラオケに行った時は、友人と友人の子供達と一緒でした。友人の子供はまだ小学校1年生と幼稚園なのにしっかり歌えて、こんな小さな子供でもカラオケをするのだとびっくりしました。 一方、私は、韓国の歌をきいた事があるのはほんの数曲で、曲名も歌手もわからないし、やっとのことで思い出した曲名「愛しています」は歌詞が違うものを何人もの歌手が歌っていて、どの歌手のものかわからず・・・で、結局、一曲も歌えませんでした。みんな、楽しそうに歌っているのに、とても残念でした。
カラオケ対策
韓国は老若男女を問わず、カラオケが好きな人が多く、あちこちに中型、小型のカラオケ店があります。自動販売機でできるコインカラオケも人気です。
山岳会やピクニックなど何人か集まると、伴奏なしでも歌を歌うこともよくあります。
私の周りも例にもれず、歌を歌う人が好きな人がたくさんいました。 カラオケで1曲も歌えなかった分の名誉挽回と、外国人が下手でも韓国の曲を歌うと韓国人がとても喜ぶので、韓国語で1曲歌えるようにしようと考えました。
演歌を選ぶ
現在、世界中で大人気のダンス系のKPOPは、テンポも言葉も速くて、韓国人でも言っていることがわからないそうで、歌う候補からはずしました。
韓国ドラマや映画の主題歌や挿入曲になっているバラードは、情をこめて歌える歌唱力が必要で、これもハードルが高いのであきらめました。
必然的に、韓国の演歌を選ぶことになりました。韓国の演歌は、 曲、歌詞が単純で繰り返しが多く、外国人にとってはとっつきやすいからです。
韓国の演歌も、日本と同じように若い世代には人気がないですが、私の周囲の料理仲間が演歌を好きな中高年が多かったことも、演歌を選んだ理由のひとつです。
韓国の演歌の曲名
なぜ、暗い、悲しい、怨み、つらみ、苦しみ、忍ぶ、耐えるなど、ちょっと時代からずれている“演歌”を選んだのかと不思議に思う人も多いでしょう。これは、日本の演歌のイメージで、韓国の演歌は日本の演歌とだいぶ勝手が違います。
まず、韓国演歌の曲名からみていきましょう。
「同伴者」「いる時によくしろ」「私の年齢がどうだっていうの」「よく生きるだろう」「あなたが最高よ」「あなたと共に」「愛探して人生探して」「 愛のバッテリー」「愛の花」「あばたもえくぼ(意訳)」「真だ」「あなたがいないといきていけない」「あなたがいい」「あなたが望むなら」・・・
曲名だけで何をいいたいかがストレートにわかる、素朴な名前の付け方です。悲しい歌もありますが、愛の喜びをそのまま曲名にしているもののほうが多いです。
対して、日本の演歌の曲名はどうでしょう?
「北の宿から」「津軽港海峡冬景色」「無言坂」「矢切の渡し」「北酒場」「襟裳岬」「雨の慕情」「氷雨」「夢追い酒」「みちのく一人旅」「こころ酒」「女のみち」「岸壁の母」「ふたり酒」「命くれない」・・・
曲名からは何をいいたいのか、悲しい歌なのか嬉しい歌なのかは、わからないでしょう。
日本との歌詞の違い
歌詞は、日本との違いがもっと顕著です。
韓国演歌の歌詞も曲名と同様に素朴でストレートです。曲名がそのままサビの部分になっているものがたくさんあります。
日本はもともと普段の生活の中で、はっきりいわない、ぼかしてやわらかくいう婉曲の習慣があります。「本音と建て前」があるので、会話していても、言葉の裏の本当の意味を考える、行間を読む力も必要になってきます。演歌だけではなく、歌全般、このはっきりいわない習慣の影響を受けていて、比喩が多く、行間を読めてはじめて、悲しい歌か楽しい歌なのかわかるものが多いです。言葉がはっきりしない分、自分の感性で想像し余韻を楽しむことができます。
同じ習慣・文化をもった人なら「余韻を楽しむ」ことができますが、全く違う習慣・文化の人ー外国人ーからすると、意味がさっぱりわからないものになってしまいます。
こんなに違う韓国の“雨”
演歌だけでなく日本の歌では、“雨”が使われている曲名・歌詞が多いです。
「雨」同名異曲多数「雨の慕情」「氷雨」「長崎は今日も雨だった」「雨のブルース」「雨の御堂筋」「アカシアの雨がやむとき」「雨がやんだら」「雨にさく花」「雨にぬれた花」「大阪しぐれ(時雨)」・・・
これらの歌に共通しているのは、雨→涙→つらい、悲しい、別れをイメージさせる点です。
韓国の“雨”のイメージはどうでしょうか?
チジミ
韓国で有名な“雨”の話は、雨が降ると、チジミを食べたくなるーです。雨のぼたぼた降る音がチジミを油で焼く時の音と似ているからで、チジミとマッコリという韓国の伝統酒がセットだそうです。
ドラマ「太陽を抱いた月」の女性主人公の名前「煙雨」
現在、人気抜群の男優キム・スヒョンがブレークするきっかけとなった、仮想歴史ドラマ「太陽を抱いた月」の女性主人公の名前が「煙雨」(ヨヌ)です。
下は、好きだった「煙雨」が死んでしまい、意にそぐわない女性との結婚式を始める瞬間に、ほのかに雨が降ってきて、以前、「煙雨」に名前の意味が、”霧雨だ”と聞いて、きれいな名前だねと話した記憶を回想するシーンです。
3分17秒からです。
俳優兼歌手 レイン
2000年代に人気がでてアメリカにも進出した韓国人歌手で俳優のレインは、日本での芸名は英語のRAINからとりましたが、韓国語での芸名は「雨」です。
芸名を付ける時の事務所の社長が、当時芸名を「星」「(朝夕)焼け」など自然のものからつける方針だったのど、雨のようにみんなのそばに降りたいという意味で「雨」という芸名をつけたそうです。
「永遠」という曲
今度は、韓国の歌詞の中でよく使われている言葉「永遠」がずばりタイトルになっている曲をみてみましょう。
ナ・フナという大物男性演歌歌手の作詞、作曲で自ら歌った曲をを、2024年「韓日歌王戦」という演歌愛好者の歌番組で人気がでた若手、日本人-東亜樹(左側)と韓国人-キム・ダヒョン(右側)が歌っています。歌手と聞く側の表情・背景の演出を注意してみてください。
歌詞の意味は、“別れた人を忘れようとしても死んでも永遠に忘れられないだろう”です。
曲調と歌手と聞いている人の表情、背景の演出からは 別れた人への曲とは、全く想像できないくらい、明るく、楽しく、今にも踊りだしそうな雰囲気で、これが演歌なのと思われる方も多いのではないでしょうか?
私の推測ですが、永遠に忘れられないくらい、愛していることが嬉しくてこのような表情、演出になるのではないかと思われます。
カラオケは家族で楽しめる娯楽
韓国の演歌でも、曲名からでは意味のわからない曲もあるし、かなり古い歌は、暗い雰囲気の歌もあります。
でも、概して愛の喜びを歌った歌が多いです。比喩や婉曲が少なくストレートな歌詞は、子供でもわかりやすいく、教育的にみても子供の前で歌ってちっとも恥ずかしくありません。 だから子供と一緒にカラオケができ、カラオケを家族全員で楽しめます。
韓国の演歌は、外国人の私達でも歌詞の意味がわかって手軽に歌え、韓国人の熱い情を感じられ、明るい雰囲気づくりもできるので、韓国のカラオケ入門にぜひお薦めです。私もよく歌ってみんなと楽しんでいます。
(2024年10月4日 韓大納言記)
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コメント
韓国の「雨」のイメージを初めて知りました‼️
細やかな理解、恐れ入ります。
韓国に留学している日本人学生がよく行くヨンシンネのカラオケに行くと、日本語の説明がそのまま書いてある日本のカラオケ機がそのまま使われていて、ビックリしたことがありましたが、韓国でカラオケが浸透していることを改めて知りました。
いつも新しい発見をありがとうございます。
私も韓国に住んでますが、バス旅行になると、バスがカラオケルームになり、バス内の電飾もピカピカ付き、踊る人も出てきて、バスが揺れる程、盛り上がります。