みんなで一緒に、みんなで分けて

食文化

これは何でしょうか?

これは、毎年5月初旬ごろになると市場やスーパーにでまわる、芽を切りおとしていない“にんにく”です。一袋に50個くらいはいっています。

初めて見る人がほとんどではないでしょうか?

韓国ではキムチ、ナムル、ビビンバなどほとんどの料理ににんにくを使うため、一年間に消費する量が半端ではありません。経費を節約したかったり、おいしさを追求したりする家庭だったら、旬のこの時期に1年分、この大きな袋でまとめて買います。

このにんにくの袋は極端な例ですが、韓国では食材を大量な単位でうっています。大根、キャベツ、白菜、すいかはまるまる1個単位です。 ネギは束で、小さい束でも5本はあります。時々、半分の大根やキャベツ、カットされた2本ぐらいのネギが売っていますが、まるまる1個や束にくらべるとかなり割り高です。しょうゆや油やなど調味料も1、2リットルくらいのものが店にずらっと並んでいます。

生活用品は、トイレットペーパーは30個が1セット、洗濯洗剤、シャンプーなど容器も1リットル、3リットルの容器がざらではありません。

一人で食べたらいけないの?

日本で、暑い夏に海辺を友人達数人で歩いていた時です。

暑くて私はアイスクリームが食べたくなったのでコンビニでひとつアイスクリームを買いました。すると友人の中の、ひとりの韓国人がよってきて、「なんで自分の分だけアイスクリームを買うのか」とひどく怒るのです。なんで自分のアイスクリームを買ったらいけないのか、なんで怒っているのかと、とてもびっくりしました。

さらに、その韓国人は他のコンビニに行って、友人の人数分のアイスクリームを買ってわけてくれて、「みんなで食べたほうがおいしいでしょう。何か食べたいと思ったら、自分の分だけ買うのではなくみんなの分も買ってみんなで食べるんだよ」と教えてくれました。

確かに、みんなで「おいしいね」とおしゃべりしながら食べて楽しかったし、おいしかったです。でも、その時は、韓国はそういう文化なんだと他人事だったのですが・・・

みんなでつついて食べるーかき氷

こちらは韓国で販売されているかき氷です。やはりスケールが大きく山盛りです。かき氷を食べるのは食後で、お腹は満たされている時なので、この量では2人でも食べきれません。3人以上でひとつの器のかきごおりを“みんなで”つついて食べます。一人でたべる事を前提には作られていません。

もらったり、あげたり

さて、実際に韓国で住んでみると、かき氷のように、すべてのものが、みんなで食べる前提で、1個の単位が多いか大きいかなので、大家族ではないと食材をとうてい全部消費しきれません。捨てるのももったいないので、自然と近所の人達にわけるようになりました。

近所の人も、買ったけど多すぎたからとネギをわけてくれたり、多く作ったから食べにおいでと呼んでくれたりします。私が作り方を全くわからない韓国料理を分けてくれた時は、作り方も教えてくれて、とてもありがたかったです。

こうして、ご近所さんや友人達とあげたり、もらったりするようになったのですが、韓国人が1回にくれる量もとても多かったり、大きいのです。日本人だったら、相手が一人だったら、きっちり一人分しかあげませんが、適当なのか、沢山上げたほうがいい習慣なのか、いつも大量にくれるので、分けてもらったものをさらにまた違う人にわけるようにしていました。

これは、友人のひとりがくれた韓国で人気のある店のカステラです。大きさがわかりやすいようにA4用紙にのせてみました。A4用紙めいっぱいで、本当に大きいでしょう?

私の家族だけでは当然食べきれないので、いつものようにご近所さんに分けて食べました。本当においしくて、また食べたくなったのですが、一人では食べきれない量だし、一人で食べるにはもったいないほどおいしかったので、友達が20人くらい集まる機会をねらって、買って、みんなで分けて食べました。みんなとても喜んでくれました。

日本で、私が一人でアイスクリームを買った時、 韓国人の友人が怒った「食べる時はみんなで食べるんだ」といっていた習慣が自然とみについていたのです。

みんなで食べるともっとおいしい

ところで、日本のお菓子は、韓国のお菓子より味が繊細で、韓国でとても人気があります。私は日本に帰るたびに、韓国では売ってないか、売っていても高いお菓子を買いますが、いつも「みんなで食べる」が前提で買います。

私が日本で買ってきたお土産のお菓子を、みんなが喜んで楽しくおしゃべりしながら食べるのをみて、本当にうれしく、より美味しく食べることができます。

“みんなで一緒に、みんなで分けて食べる”ーこれが韓国で住んで増えた楽しみのひとつです。

(2024年8月29日 韓大納言記)

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コメント

  1. マス・モーリン より:

    韓国に留学して途中で帰ってきた男子学生に「友達は何人くらい出来た?」と聞くと、「100人くらいですかね?」と答えてくれました。それも家に遊びに行って、ノックもせずに勝手に部屋に上がりこむレベルだそうです。
    留学当初は、学食でお菓子を買ってテーブルに置いたまま、トイレに行って戻って来ると、もう友達が勝手にお菓子の袋を開けてみんなで食べているし、新しい文房具を買って、さあ使おうと思ったら、もう友達が使っていて、とにかく最初はビックリの連続だったと言います。
    あるいは女子学生によると、外出してのどが渇くと、2リットルのペットボトルをみんなで回し飲みするのが普通で、韓国人は口をつけないで上手に飲めるけど、留学して日が浅い日本人留学生はこれが出来なくて、むせてしまい、日本人だとすぐ分かると言っておりました。
    こういった話をへ〜と聞いておりましたが、このブログを読んで、ことごとく腑に落ちました!
    「他人も家族」と「自分以外は家族も他人」の違いとか、目からウロコです。「みんなで食べる」「分かち合う」文化っていいですね。

    • happy-korea より:

      コメントありがとうございます。学生達が和気あいあいと飲んだり食べたりする様子が目に浮かびます。韓国ではこの学生達のように、友達になることが簡単で、いつも”みんなで”食べます。一人で食べている人は、よっぽど人間関係が築けない人、変わっている人とみられてしまうわけです。コロナの感染者が莫大な人数になった頃、感染しなかった人は、人との接触とのない人ー変わっていた人ーとみられる風潮もありました。私は1回感染しました。ホッ。

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