他人が決める?自分が決める?

食文化

この写真の中の共通点は何でしょう?

日本料理

日本人が愛好している日本の料理の3点ですが、答えは“出されたそのまま食べる”です。

ほとんどの人は、牛丼、かつ丼、カレーライスに, 塩やしょうゆを自分でかけたり、加えたりすることはないでしょう。付け加えること自体、思いもつかないでは?いわば、他人が決めた味をそのまま食べているのです。

韓国料理

日本料理が“出されたそのまま食べる”だとすると次の韓国料理の写真の共通点は何でしょう?

答えは、“自分で手を加えて食べる”です。

サムギョプサルは葉っぱ類の上に肉をのせ、ニンニクやサムジャンなどを加えて巻いて食べ、サムゲタンはスープに塩や、こしょうを加えて味をととのえます。ビビンバは器にコチュジャンをいれて、ナムル、ご飯とまぜます。

最終的に、味は自分が決めているのです。

韓国料理ではメイン料理の他に、おかずが小皿で複数枚でできます。各自が自分の箸で好きなものをとって食べます。複数のお皿のおかずから、何を食べるか、どのくらい食べるかを自分で決めているわけです。

大統領も私がきめる?

こうした視点でみると、日本は食事のたびに、他人が味を決めたものを食べて従順性を、韓国は自分で食べるもの、量、味を自分で決める自主性を強化しているともいえるでしょう。こういった普段の習慣が民族性を作っていくのではないでしょうか?

韓国人の会話の中でよく聞こえてくるのが、「自分が決める」「知ってする(自分で考えてする→自分が決めるーの意味)」です。

これらの言葉は日本人の会話の中では、あまりきいたことがないどころか、「知ってする」はそういう言葉使いさえありません。 ある高校生が、「大統領が変な政策を作っておかしいから、大統領を変えようと思う」と発言した時は、若い高校生でも、大統領さえ、自分が決める意識があるのかと感嘆しました。

そのままだと? ~入院中の!?~

さて、物事には良い点、悪い点と両面があります。

日本人の従順性の裏側は、「他人が決めてくれた(法律・指示など)ものにはよく従えるが、自分で決められない」です。

韓国人の自主性の裏側は「自分で決められるが、他人が決めたもの(法律・指示など)には従わない」です。

私は骨折して、韓国で手術・入院したことがあります。同室の患者は私以外は全員韓国人でした。私は手術後、お医者さんの指示でリハビリのため毎食後に軽い運動をしていました。

するとある時、同室の患者さんが「なんで、いつも運動をしているのか?」聞くので、「お医者さんの指示だから」と答えたのですが、その人は「私は痛かったり、自分がしたくなかったりしたらやらない」というのです。

私達の会話を聞いていた別の患者さんも「私もしない」と話にはいってきました。2人の患者さんとも「なんで医者のいうこときくのか?」と軽蔑するようなニュアンスでした。

私は、医学の知識のない患者の立場で、専門家のお医者さんからの指示でも、いうことを聞かず”自分で決める“なんだと、なかばあきれてしまいました。

混ぜたら?  ~解決~

私は、韓国人がお医者さんの言うことさえ、きかないことにショックを覚えて、家族や友人の何人かに、お医者さんのいうことをきくのか、きかないのか質問してみました。みんな異口同音に「医者のいうことはきかない」と答えて、ますますショックでした。

日本人の従順な性格をよく知っている友人は、私がショックをうけているのをみて、「自分の体のことは、お医者さんより自分の方がよく知っているから」と理由を説明してくれましたが、ちっとも納得できませんでした。

一方で私は、退院後も毎日、家で1時間弱のリハビリ運動するようにお医者さんに指示を受けていました。もちろん、お医者さんの指示に素直に従って、リハビリ運動を続けていました。

が、ある時、韓国式もとりいれいてみようとふと思いつきました。「運動をしなさいと指示したのはお医者さんだけれど、私が、お医者さんの意見がいいと思ったから、私が運動することに決めたのだ」と発想を変えることにしたのです。

すると、お医者さんの指示でいわれてやっている時は、”~せねばならぬ”という義務感で、1時間弱の運動がとても長く感じ、根性が必要だったのが、自分が決めて、自分がやりたいことをやっているのだ考えられるようになり、とても楽しくでき、1時間弱があっという間に過ぎるようになりました。

日本の従順性と韓国の自主性という全く違う2つの味をまぜて、もっとおしいしいひとつの味ができたような気分でとても嬉しかったです。

韓国人に驚かされながらも、混ぜておいしくなった私の楽しい韓国ライフの一例でした。

(2024年9月1日 韓大納言)

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コメント

  1. マス・モーリン より:

    これはとても面白い考察だと思います。
    料理の食べ方に「他人が決めた」ものを受け入れる従順性と「自分が決める」自主性が見て取れるとは、思ってもみませんでした‼️
    どちらの国も農民が大多数を占める農耕民族なのに、この違いは一体どこから生じるのでしょう❓️
    韓大納言氏は、日本人の従順性に韓国人の自主性を「混ぜておいしくなった」という見事な料理法を示されましたが、韓国人がその自主性に日本人の従順性を「混ぜてみる」ケースというのは、無いものでしょうか❓️

    • happy-korea より:

      コメント・質問ありがとうございます。韓国人の自主性に日本人の従順性が混ぜられるかは、「何でひとつになる?~受ける日本語/与える韓国語 続編」をご覧ください。

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